月組『ブレイク・ザ・ボーダー』
かつっぺの“ヅカTV”ちょい感想コーナー<第2回>▽月組公演 ショー『ブレイク・ザ・ボーダー!』 ▽宝塚大劇場1991年9月~10月 ▽作・演出・・・石田昌也 ▽作品紹介・・・ボーダーレスの世界の到来を反映して、境界線を取り払った世界を様々な角度から描いた新感覚のショー。 ▽作品評…★★★★★☆☆☆☆☆ ▽鑑賞日・・・2002年5月19日
▽幕開きは、珍しいインディアンのスタイルで新調された衣装に、家城比呂志氏の全身を大きく使った振り付けが新鮮で、目を惹かれた記憶があります。その後インディアン衣装はほとんど登場していないから、この場面は結構貴重かもしれないですね。 このプロローグの最後に早くもラインダンス登場。やってそうで意外とやっていなかったので話題になりましたねぇ。 第四場~第六場(オールド&ナウ)は、トップの涼風真世さん演ずる青年が、恋するバレリーナの少女・麻乃佳世さんを思ってしっとりと聴かせ、ラストはハード(ロック調「白鳥の湖」アレンジもグッド)にキザってきめる、という流れがスムースで、分かりやすくて楽しめました。涼風さんは腰が高いので、足が長く見えて、足を上げたときすごいかっこいいんですよね。 続く天海祐希さんの監獄場面も肩が凝らない気楽な場面で疲れている時にはいいですね。 そして、第十場~第十二場(龍神伝説)の中詰がこのショーの見所。涼風さんが、どでかい龍神に乗って登場するところはレヴューの醍醐味。アホらしくも見えるけど、スペクタクルなレヴューなんだし、一作品に一場面はこういった大仕掛けなものがあっていいと思うのです。ドボォルザークの「新世界」が大劇場に豪快に響いていたのも思い出しました。 第十三場~第十五場(時間の光と影)では、涼風さんが女役となり、天海さんと久世星佳さんの3人で、後方に大鏡を配し、廻る盆上で魅せてくれました。まぁ、この「鏡に盆廻し」自体は新しいものではないんですけどね。当時研2の風花舞さんのダンスと、歌の上手な愛川麻貴さんのソロが見事でした。 その後は、定番ジャズナンバーと、もう一度ラインダンス(バニーガールのロケット…これは石田先生の趣味としか思えないんだけど・笑)、フィナーレ。石田先生のショーのフィナーレはいわゆる“ポンポン”を使うんだけど、これはいまいちじゃないのかなぁって思っているのは僕だけではないでしょう。なんじゃこれと思いながら観劇していたものでした。
石田先生のショーは、バラエティー・ショーというイメージが強いのですが、このショーなんかは、場面と場面のつながりは全くないけど、その場面はしっかりタイトルの意味するところを表現してるんですね。中詰場面もしっかりあって、デビュー作だからというのもあり、非常にオーソドックスなショーでした。最近の作品の方が、ほんとにただバラエティーで中身がなくなってきてるような気がするな。尤も最近はお芝居のほうが多いんだけど。 全体的には、気楽に見られるのでショーとしては楽しい、のだけれど、平凡なショーといえば、そうも言えるので、評価は★5つ(平均点)です。
※併演作品…グランド・ロマン『銀の狼』(作・演出 正塚晴彦)でした。
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